恋愛と友情の違いの心理学は?

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こんにちは、鈴木です。

恋愛に疲れ(しんどさ)を感じる人は少なくありません。特に恋愛経験が浅く恋愛関係に特別な(安定感や安心感などの)印象を抱いている場合には「恋愛がしんどい」「恋愛に疲れた」などの不満を持つ可能性が高くなります。

恋愛関係にも適度な息抜き(ガス抜き)が必要です。

鈴木鈴木

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 恋愛と友情の違いとは?
  • 恋する気持ちはどんな気持ち?
  • 恋愛が疲れてしんどい理由は?

恋愛関係はしんどい関係性です。

恋愛感情はとても疲れます。これは恋愛関係(または夫婦関係)が「関係を維持するためには特別な配慮が必要」であるためです。恋愛関係は同性の親友関係よりも楽しくて魅力的な反面、緊張に満ちたしんどい関係であるといえます。

恋愛関係は疲れて当たり前の関係性なのです。

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友人と恋人の違いは?

友情と恋愛感情の関係には性差があります。

同性の友人や恋人(または異性の友人)に対する感情を調査した研究があります(山本真理子 1986)。異性への感情構造には複数の因子がありますが、男女ともに上位3因子は「恋愛」「親近感」「反感」になっています。

この因子を「①恋人」「②特別に親しい異性の友人」「③異性の友人」「④顔見知りの異性」「⑤あまり好きではない異性の知人」で比較してみると、女性では①と②の間に明確な違いが見られるものの、男性では差が見られませんでした。

つまり男性は恋人と親しい異性の友人への感情があやふやであるということです。

  • 男性:異性の友人と恋人を明確には区別していない
  • 女性:異性の友人と恋人をはっきりと区別している

また他の研究でもこの傾向は見られます。

友人に対する気持ちと恋人に対する気持ちの区別についての研究(Rubin,Z. 1970)では、恋愛尺度(恋愛相手に対する熱中や独占欲など)と好意尺度(相手を高く評価し尊敬を抱く気持ちなど)の調査をしています。

【補足説明】恋愛尺度は「相手を独り占めしたい気持ち」「相手のためなら何でもしてあげるつもり」など、好意尺度は「相手を責任のある仕事に推薦できる」「誰からも尊敬されるような人物だと思う」などの項目になっています。

次に「恋をしている度合い」や「相手との結婚の可能性」の質問をしています。

  • 恋愛尺度:高い相関が見られる
  • 好意尺度:相関は見られない

恋愛と好意は異なるということです。

しかしここにも男女差があります。恋愛尺度と好意尺度との相関(相関係数)を調べてみると「女性に比べて男性の方が強い関連がみられる」ことが確認されます。つまり「男性は恋人に対する気持ちと異性の友人に対する気持ちを混同しやすい」ということになります。

この男女差は多くの研究により確認されています。

恋する気持ちを解剖すると?

恋愛感情は複雑です。

ルービンの尺度では恋愛感情を一つの尺度で調査していますが、恋愛はそんなに単純ではありません。そこでパムは愛情を測るために「尊敬」「愛他性」「外見的魅力」「愛着」「信頼」「相性(適合性)」の6つの側面に分けています(Pam,A.,Plutchik,R.& Conte,H.R. 1975)。

以下は信頼と相性を一つにまとめた5側面の具体例です。

  • 尊敬:優れた判断をする
  • 相性:うまくやっている
  • 愛他性:贈り物をするのが好き
  • 外見的魅力:相手の外見は平均以上
  • 愛着:一緒にいると安心する

この尺度を用いて調査が行われています。

異性関係の状態を「恋愛関係」「デート交際」「友人関係」の3群に分けて上記5側面の調査を行った結果、相性の側面では違いが見られなかったものの他の4群では明確な違いが確認されています。

  • 尊敬:恋愛関係=友人関係>デート交際
  • 愛他性:恋愛関係>デート交際=友人関係
  • 外見的魅力:友人関係>デート交際>恋愛関係
  • 愛着:恋愛関係>デート交際=友人関係

この結果からも、友人関係からデート交際に至る段階では「交際相手の外見を高く評価することが重要」であり、デートか交際から恋愛関係に至る段階では「相手のために尽くす気持ち(愛他性)や一緒にいたいという気持ち(愛着)が重要」であるといえます。

恋する気持ちにも(段階により)色々あるということです。

恋愛関係は曖昧な関係?

恋愛関係は想像以上に複雑です。

ここまではルービンの尺度(恋愛尺度と好意尺度)やパムの6つの側面(尊敬、愛他性、外見的魅力、愛着、信頼、相性)などを用いて恋愛関係と友情関係の違いを説明してきましたが、現実はさらに複雑です。

デイビスは友情と恋愛を多くの側面に分解して調査しています(デイビス 1985)。

  • 友情
    • 楽しさ:私を笑わせてくれる
    • 受容:私の良さを認めてくれる
    • 信頼:私のために行動してくれている
    • 尊敬:相手の助言はいつも適切
    • 開示:私にだけ話してくれることがある
    • 理解:相手の行動の理由を知っている
    • 自発性:相手の側はとても居心地がいい
  • 恋愛
    • 魅了:相手のことが頭からはなれない
    • 排斥性:互いにすっかりのめり込んでいる
    • 性的欲望:(※「賢者の贈物」からの例示)
    • 最高の贈与:(※「賢者の贈物」からの例示)
    • 擁護者:(※「賢者の贈物」からの例示)

しかしこの分類は正しくありません。

恋人や夫婦の関係を同性の親友関係と比較した実際の調査では「受容、信頼、尊敬は同程度の強さだが、他の全ての側面は恋人や夫婦が親友を上回っている」という結果がでています。

これらのことからもデイビスは「恋愛や夫婦関係は親友関係に比べて、曖昧で葛藤を起こしやすく関係を維持するためには特別の配慮が必要な関係」であることも明らかにしています。

恋愛関係はとても楽しく魅力的である反面、緊張に満ちたとてもしんどい関係(とても疲れる関係)でもあるということです。

まとめ・恋愛と友情の違いの心理学は?

恋愛関係はとてもしんどいものです。

恋愛に安らぎや安心感を求めている人は少なくありません。しかし愛情の種類(側面)は恋愛の段階により変化するものですので親友関係よりも特別な配慮が必要になります。当然、とても疲れますししんどいものです。

恋愛の魅力的な側面を享受するためにはしんどさも受け入れる覚悟が必要です。